基本情報
著者:飴色みそ
発売日:2019年7月29日
おすすめ度:★★★★☆
一言:可愛い幽霊たちの日常と時々闇。
目次
概要
楽しい幽霊ライフ!
開始時点で人類が謎のウイルスによりほぼ滅亡しています。
メインキャラクターたち(表紙の表側には3人ですが、裏にいる1人が増えて4人になります)も死亡して幽霊になっています。
が、幽霊であるが故の特性が
- 物を触れない
- 後々お炊き上げすれば触れることが判明
- 写真にハッキリ映らない
- 霊能力で物を持ち上げたりできる
- 壁抜けができる
- 地面も抜けられる
- 飲食しなくても問題ない
と、むしろメリットのほうが多いようで、成仏せずにこの世に残っている人は結構多いようです。
メインキャラクターたちも特別大きな未練があるわけではないものの、物語開始時点では学校で1年暮らしています。
成仏するにはまだ早いってのは遊び足りないってことでしょうかね。
ちなみにメインキャラクターたちが学校にいる理由は学校の地縛霊だからではなく、彼女たちのそれぞれの家が家族たちの溜まり場になっていて学校のほうが居心地が良いためです。
描きおろしは写真の話
描きおろしとしてメインキャラクター4人の写真にまつわるお話が載っています!
幽霊となった今、果たして4人で記念撮影は出来るのでしょうか……?
あといくつかのエピソードには後日談的な描きおろし4コマも付いてます。
カバー裏は髪型の話です。
キャラクター紹介
メインキャラクター
小春
ボケでもなく、ツッコミでもなく、周りに振り回されることが多いです。
かわいい言動や表情が多く、作中屈指の癒やしキャラと言えるかもしれません。
好きな食べ物はおもちです。
夏希、千秋とは小学校入学時からの付き合いでとっても仲がいいです。
そして美冬と行動をともにするようになってからは、美冬にくっつかれていることがよくあります。
また、彼女は霊力が強すぎてコントロールが出来ません。ファンタジー世界なら最強だったかもしれませんが、敵なんていませんからね……
むしろコントロールが出来ないゆえに不便しているようです。
夏希
ボケもツッコミも担当し、他の子たちを動かすトラブルメーカーです。
千秋とは小学校入学以前からの付き合いである幼馴染で、千秋をからかったり困らせようとする行動をしたりします。
もしくは悪意はないけど結果的に千秋が被害を被ることもあったりとか……
好きな食べ物はもんじゃ焼きです。
また、体を動かすことや虫が好きなどボーイッシュな趣味を持っています。
昔から虫が大好きなようで、小春と千秋が気持ち悪がるような植物の生えた蝶や、虫の大群を見ても平然とし、むしろ目を輝かせることもあります。
その天真爛漫ぶりに千秋には小学校入学までは男の子だと思われていた様子……
千秋
どちらかといえばツッコミ担当ですが、自分の好きな分野にはノリノリでボケにもなります。
夏希にはちょっとツンとした態度で接し、夏希の暴走を止めようとすることも多いです。
まあ、止まるような夏希ではありませんけどね……
好きな食べ物は大学芋で、写真撮影も好きなようです。
そして苦手なものは虫です。
人が手入れをしなくなった世界は植物だらけで虫も大量にいるため、生きていくのが大変そうです……
いやもう死んでるんですけども。
虫は苦手ですが死んだあとに自分たちの死体から植物が生えても、辺り一面が緑色になったことで「まいっか」と思えるくらいにはメンタルは強いです。
ホラーや虫への耐性が極端に低いだけで、小春よりは精神が強いのではないでしょうか。
美冬
ボケ担当。
園芸部の地縛霊で、無くした髪飾りを1年間ずっと探していました。
探せる範囲は地縛霊なのでガーデンのみです。
真面目で好奇心旺盛な性格で、成績も優秀だったのか高校時代に新入生代表の挨拶もお願いされています。
そのため現実的で理論に則した発言をするかと思いきや、夏希の冗談に乗っかったり突拍子もないことを言ったりと案外何も考えずに発言してる気もします。
好きな食べ物はみぞれ鍋です。
また、夏希に次ぐ悪戯好きです。
小春たちとの出会いは第2話です。
小春に職員室で美冬の髪飾りを見つけてもらったあと成仏しそうになりますが、Bボタンでキャンセルして小春たちと行動をともにするようになりました。
その後は生前友達ではなかったことを忘れるくらい4人でいることが馴染むようになります。
髪飾りを見つけてくれたことからか小春のそばにいることが多い気がしますね。
また、Bボタンキャンセル以外にも、物はお炊き上げをすると幽霊でも触れるようになるといった知識も持っています。
好奇心旺盛なのと髪飾りを見つけたい重いからか、幽霊になってから色々試していたのかもしれませんね。
サブキャラクター
花子
黒髪おかっぱのトイレの花子さん……ではなく、銀髪くせっ毛の小さなトイレの花子さんです。
準レギュラーくらいの登場頻度です(1巻で2回)。
夜中に人の家(トイレ)に訪ねてくるのは非常識だとか、トイレで写真撮影は捕まるだとか、幽霊ながら常識をわきまえています。
好きなものは自分自身の今の姿だと思われます。
世間一般の黒髪おかっぱ花子さんのイメージを嫌っており、くせっ毛は元からですが髪は染めています。
自身の姿は気に入っているようで、写真に撮られた自分を見て「この写真のあたし可愛い…」「ダサいおかっぱのイメージじゃなくてこの姿が世間に広がればいいのに…」とおかっぱではない自分に満足しています。
幽霊は写真に撮られると姿がよく写らない心霊写真になってしまいますが、幽霊としての拠点や心霊スポットならばハッキリと写真に写れることを小春たちに教えました。
柏木
手足と顔のある黒い星が描かれた迷走Tシャツを来た金髪のお姉さんです。
黒い星の左右の足元にオレンジの小さめの星が一つずつ描かれています。
星の靴の色もオレンジです。
お姉さんの下の名前は「わか」もしくは「ゆか」だと思われます。
おばあちゃんがやっていたおもちゃ屋のおもちゃを配り歩いています。
子供が苦手らしいですが、その割には自作絵本を作ったりとおばあちゃんの影響か子供を楽しませようする想いがあるようです。
小春たちにおもちゃ配りを手伝ってもらっている途中、「これ配り終わったら成仏しようかなって思ってて」と成仏しようとしている旨を語ります。
おもちゃ配りが終わったあとは小春たちとは違う道でどこかに行ってしまったので実際に成仏したのかはわかりません。
でもまたどこかで会える気がしますね。
マフラーを着けた少女
山でイノシシに襲われていました。
詳細は次巻に出てきます。
多分。
考察要素
突如蔓延した未知のウィルスにより人類が滅び、人の手が加わらなくなった世界は植物だらけに……
というのもありますが、人類が滅んだのは逆に植物のせいだという見方もできます。
最終的にどこまで語られるかわかりませんが、楽しい幽霊ライフの裏に佇む人類が滅んだ謎を解き明かすのもこの作品の楽しみ方の1つだと思います。
植物の生えた生物
この作品の紹介文にある「新種の生物」とは植物の生えた生物たちです。
小春が羽に植物が生えた不思議な蝶を見つけ、幽霊ライフがマンネリ化してきた3人はそんな不思議な生物を探すのをちょっとした生きがいとするようになります。
作品中に描かれた植物が生えていたりする不思議な生物は以下の通りです。
- 羽に植物の生えた蝶(ナツナツキシマハルアキチョウ)
- 尻尾に植物の生えた猫(花子)
- 頭に花の生えた犬(ジョセフィーヌ)
- 尾ヒレの方に植物の生えた巨大な魚
- 妙にゴツゴツしたイノシシ(植物は生えていない)
これらはカバーにも描かれています。
また、ジョセフィーヌは後に「植物の芽のみが描かれた缶詰」の中身を食べましたが、その際頭の花が大きく成長するという事象が発生しています。
その時のジョセフィーヌは大きな花の重さが辛そうではありましたが、栄養が花に持っていかれているといったことは無いように思われます。
死体から植物
死んでしまって3日くらいで、小春たちの死体から植物が生え、教室は植物で覆われました。
3日なんて短時間で植物が生えるという話は筆者は聞いたことがありません。
たまに推理もののドラマなども見るのでもしそういったことが普通ならば、今までも見かけたことがあると思います。
また、ジョセフィーヌというのは美雪が飼っていた犬であり、すなわち生きた動物に後天的に植物が生えたことになります。
バイオテロか何かが起こり、それを止めるのに失敗した世界なんでしょうか。
視聴覚室の繭
幽霊鬼ごっこの途中、夏希と千秋は視聴覚室に人の背丈よりも大きな繭があるのを見つけます。
ドクンとたまに脈打ち、微妙に蓮コラっぽくて気持ち悪いです。
繭そのものには植物は生えてませんが、中の虫はたくさん生えてそうですね……
この繭の中身はラスボスとなるのか謎を解く鍵となるのか。
ここ好きポイント
わしゃわしゃ
45ページ「幽霊でもご飯が食べられないかな」という会話の中で、夏希が美冬のあごをくすぐります。
それを千秋が止めますが、今度は千秋をくすぐりだして、そのページの終わりには頭まで撫でられてしまう始末。
千秋的には善意で止めたと思うんですが、美冬にちょっとヤキモチ焼いて止めたみたいで可愛いです。
自分が撫でられてちょっとだけ嬉しそうな顔するのもすき。
幽霊的鬼ごっこ
63ページから幽霊の「壁抜けができる」という特性を活かした鬼ごっこが始まります。
壁抜けができない小春が鬼となり、壁抜けができるようになる練習も兼ねているのですが、開始直後に意気揚々と天井に向かう美冬の顔が可愛くて好きです。
あと容赦のないその行動に驚いた千秋の顔も好き。
涙目千秋
74ページ2コマ目の千秋の涙目が可愛くて好き。
カメラマン千秋
心霊写真を撮ろうとする夏希の行動に珍しく乗っかって、満足げにカメラマンに徹する千秋好き。
「夏希くんすき♡」
小学校入学前の千秋は夏希のことを男の子だと勘違いしていました。
そして子供の頃の写真で盛り上がっていた際に、夏希が千秋に「夏希くんすき♡」と言われた旨の発言をした直後、千秋に手で口止めされます。
この時の千秋の羞恥心が限界突破したような表情好き。
スペースの活用
会話が多く、それを楽しめるのがこの作品の一つでありますが、作品を通してキャラクターが棒立ちのまま会話をしていることは少ないように感じます。
少し前から増えている、1ページに横長のコマが4つで構成されるタイプの4コマなので、1コマのスペースが広めです。
そのため吹き出しがあってもキャラに動きを存分に付けることが出来るようです。
わしゃわしゃなんかもスペースを活かしてキャラクターの仲の良さを描いている良い例だと思います。
総評
千秋が可愛い幽霊日常漫画です!
虫や植物が気持ち悪い面もありますが、それが大丈夫ならば考察も楽しめると思います。
限られた情報の中で「なんとなくこうなんじゃないかな?」と考えるのは非常に楽しいですよ!
是非読んで千秋の可愛さを脳に焼き付けてください!