基本情報
著者:タチ
発売日:2013年10月26日
おすすめ度:★★★★★
一言:美月の卒業とその恋の結末。
目次
概要
美月の卒業と告白
3巻を語るならば、やはり美月会長の卒業と、それを前にした告白を語らずにはいられません。
もはや完全にネタバレになってしまいますが、卒業式の日に、美月は春香にあなたのことが好きだと告白します。
それを聞いた春香は自分も好きだと返事をしたことで美月は喜ぶものの、美月の言う「好き」と春香の考える「好き」が異なっていることが判明します。
春香の人付き合いが苦手だった性格(中学2年に優と出会うまでボッチだった)が災いし、誰かを愛し愛されることがわかってなかったのかもしれません。
もしくは優ちゃんしか見ていないので、誰かと誰かが付き合うという発想そのものがなかったのかも…
友達たちが女の子同士で仲良くしてるのは嬉しそうにするんですけどね、その先に行くのは怖いのでしょうか。
とにかく美月の告白は実質失敗に終わり、春香は優とともに美月の言う「好き」の意味を考えていくといいます。
そして大事な告白の場面でも、春香は優が第一で、それだけ妹を大切にしてくれるところが「好き」だと美月は語り、卒業していきます。
春香と優のラブラブっぷりが楽しめるのが桜Trickの魅力の1つではあるんですが、美月のように失恋したりするキャラクターも少なからずいるんですよね…
そして失恋してしまったキャラクターが新たな幸せを手に掴むまでの過程も魅力の1つだと思います。
特にコトネの婚約者周りはもっと…
成就する恋の中に失恋があったりすることが、筆者が桜Trickを萌え4コマではなく、恋愛モノだと考える所以です。
自分の想いに気付く美月会長
告白の概要が先に来て順番がズレてしまいましたが、3巻は美月会長が自分の春香への想いを自覚するプロセスも描かれます。
優が春香と楽しそうに腕を組んでいるところに嫉妬したり、春香と優雅キスしているのを目撃してしまい、優のことが心配だからとそれを禁止したり。
言葉だけでの禁止ではなく、キチンと現場に見張りに行くあたり本気で止めようとしています。
そして無慈悲な「もうした」テロップ。
美月会長の優が心配な気持ちも、春香が好きな気持ちもどちらも本物なんだと思います。
優への嫉妬と春香への想いに揺れる揺れる…
夏休み編も収録!
3巻の中心人物は美月会長と言っても過言では無いのですが、その他にもキャラットでゲスト執筆(多分)されていた、春香達の1年時の夏休みエピソードも収録されています!
アニメ1期は3巻までのエピソードで放映されましたが、この夏休み編はまだアニメ化されていません。
OVAかなんかで是非アニメ化して欲しいところです!
実際のエピソードとしては、春香と優が、投稿日に記念撮影したり、海の家でキクラゲを捕まえたり、同じベッドで眠ったり…
特に海の家はヤバイ、そんなところでキスしてたら絶対見つかる。
というか全く気付かないゆずもそれはそれでどうなんだ。
楓のキャラソンで、冷房つけたままでもアツアツと歌ってるのはそのシーンですね。
楓はもう春香と優がキスしてるのは気付いてますよ絶対。
収録内容
- 秘密の腕組み
- 秘密の腕組みの秘密を探れ
- 今しかない雪、今しかない3年間。
- 春香と優付き合ってる疑惑
- 会長はスミスミなのじゃ!
- キス禁止令と美月の想い
- 美月と理奈とバケツ抹茶プリンパーリー
- 卒業式
↓下の4つはまだアニメ化されていないエピソード3つと、一番下はカバー裏です。
1年生の夏休みのエピソードですね。
- 登校日に記念撮影
- 海辺でTrick
- 両親のいないお泊まり会
- 楓とゆずの催眠術
キャラクター紹介
池野楓
クラス委員の真面目っ子
春香達と同じく3巻までは高校一年生です。
短めの黒い髪と、常にジト目っぽい表情が特徴です。
しずくちゃんもジト目キャラですが、表情豊かなしずくちゃんと比べて楓のほうが表情の変化は少なめです。
高校1年時点ではクラス委員長や生徒会といったクラス・学校の中心となる活動をしています。
美月会長から出ていた真面目オーラは楓にはなく、どちらかと言えば真面目に不真面目なキャラなのでちょっと意外かも?
2巻の文化祭において、ゆずがきっかけでクラス委員等を続けるようになったことが語られました。
小学一年生のときは楓にじゃんけんで勝ったゆずがクラス委員をやっていました。
しかしゆずがその勤めを果たすため大量のノートを運ぶ際に階段から落ちて怪我をしてしまい、もうそんな怪我をしないように楓はクラス委員を常にやるようになったようです。
ゆず想いのいい子です。
ゆずがいなかったら楓の性格はまるっきり違うものになってしまっていたかもしれませんね。
イタズラ好きの不真面目っ子
春香にイタズラを仕掛けたり、ゆずに課題を写させてもらおうとするなど不真面目な面があったりなかったり。
課題に関しては弟と妹に手伝ってもらおうとまでしてますからね…
まあ、小学生の妹たちが出来るはずもなく惨状が出来上がりましたが。
楓といえばイタズラ!って程は定着しているわけではありませんが、春香に「楓ちゃんの悩みなんて今日は誰を驚かせようとかそんなものだよ!」なんて言われる程度にはイタズラしているみたいです。
その言い方や反応の良さから春香が被害者第ニ位ですかね…
上記の発言の直後にもスパイダー食らってますし。
一位はもちろんゆずです。
ゆずへの思いは…
春香と優、コトネとしずくのカップルは既に出来上がってますが、そうなると残りの楓とゆずはどうなのかと気になるところですよね。
3巻までの描写では常に一緒にいる仲良しですね。
春優は中学生から、コトしずは小さい頃から知り合いでしたが、小中高全て同じ学校に通っている楓とゆずが最も共に過ごした時間は長いのではないでしょうか。
コトしずも親戚同士だっただけで、中学も違うあたり常日頃から一緒ではなかったでしょうし。
3巻時点ではゆずに対してどんな思いを持っていたんでしょうねぇ。
楓は表情の変化が少なめなので読み取りにくいです。
あと楓の心情が描かれる描写も少ないですしね。
カバー裏にてゆずから催眠術をかけられそうになるのですが、春香の「キスして」というささやきをゆずの心の声と勘違いし、肩まで掴んだ場面はまさにあと一息でしたね!
ゆずが望むなら、と考えているあたり既に結構ゆずのことを思っている、いや想っているとおもいます。
ずっと一緒にいるけど、春優コトしずほどの仲じゃないのは、やはり自分もゆずともう一歩くらい近づきたいとなるでしょうねぇ。
飯塚ゆず
ツッコミ役の常識人
楓と同じく高校1年生!
名字が「イイヅカ」と「イケノ」なためかずっと席が近かったみたいですね。
学校において人と仲良くなるきっかけって席が近いとかそんな感じですよね。
ダンスが好きで運動は得意なようですが、勉強はそこそこと言ったところ。
優と違ってサボったりはしないのでメインキャラの中では下の方なだけで、普通レベルではあるんじゃないかと思ってます。
春優コトしずとは違いメインを張ることはあまりないですが、ゆずのツッコミはかなり存在感があります。
特にプールサイドでまるでそこが海かのように振る舞う春香たちに「ビーチでやれよ!」と3連ツッコミはかなり印象に残りますね!
他のキャラは強い口調で言葉を発したりすることも多々ありますが、明確なツッコミ役はゆずだけでしょう。
きんいろモザイクでいう陽子あたりが近いかも?
デコポンオレンジグレープフルーツ…
1巻で美月会長と初めてまともに話をした場面から、延々と名前を間違えられ続けています。
「ゆず」ってそれほど覚えにくい名前ではないと思うんですが、美月会長は「みかん」さんと呼び続けます。
原因はアニメ10話の次回予告で語られています。
以下がその件です。
- 優の母親がみかんを貰う
- 美月がそれを発見し、出処を聞く
- 優は母親が貰ったことと、ちょっと酸っぱかった事を伝える
- 美月はレモンよりは甘いでしょうと言う
- 優が「ゆず」と友達になったことを伝える
- 美月がみかんを食べて美味しいと言う
- 優がたくさん食べてズルいと言う
- 美月が「みかん」さんってどんな人なのか優に質問する
- 優は「みかん」ちゃんは焼きそばが好きでね〜と返答する
- 次回予告して終了
おそらく美月会長がゆず本人達と会話をする前に優から話を聞いていた段階のものです。
実在しない「みかん」ちゃんという名前を否定しなかった優ちゃんに落ち度があるような…
かなり不憫です。
「みかん」以外にも「レモン」と呼ばれたり4巻以降では「グレープフルーツ」やら「デコポン」やら…
みんな柑橘系の名前だったことだけは覚えていますね。
美月会長は結局ゆずの名前をキチンと覚えたのでしょうか…
楓への思いは…(そんなことより焼きそば食べよう)
2話目に焼きそばパンを食べたがった描写がありました。
焼きそばを食べたがるのはそれで終わりの一発ネタかと思っていたのですが、文化祭では焼きそばの屋台に駆け寄り、5巻では大学生になった理奈に焼きそばの授業はあるのかと質問したり…
そんなに焼きそば好きだったの?
2話では女子高生がカップ焼きそば食べるのは品がないとか言ってたのに…
さて、焼きそばのことは置いておきましょう。
ゆずは楓のことをどう思っているのでしょうか。
この3巻時点では。
メインキャラ6人にはキャラソンがあり、それぞれソロとデュエットが1つずつあります。
そして5人が恋について歌う中、ゆず1人だけ「天気が良い日はじっとしてらんないぜ!踊ろう!」ってノリなんですよね。
楓のことを親友だとは思ってるでしょうけど、それ以上の関係になるとは思っていないでしょうね。
世間一般はまだ同性愛より異性愛のほうが多いですから、ゆずは女の子同士の恋愛には否定的です。
桜Trickは女の子同士での恋愛モノですから、春優コトしずの対比として楓とゆずの関係性は必須だと思います。
全員が女の子と恋してたらそれが際立ちませんから。
ゆずと楓の恋模様は7巻以降本格化してくるので必見です。
ここ好きポイント
やーいのろまー
珍しく雪が降ったので、その雪を目に焼き付けるため外で雪合戦をするシーン。
寒いのが嫌でノリ気でないゆずに向かって、優が雪玉を投げつけるシーンの直後にこのセリフを言い放ちます。
ちょっと前のコマまでは「雪降ったら外で体育できないじゃん!」と文句を言っていましたが、雪合戦を楽しむのに全力でとても好きな描写です。
その直後にゆずに仕返しされてご臨終するのも好き。
妹の春香
新たな生徒会長、乙川澄が春香や優達と初めて出会うシーンで、スミスミ会長が優に向かって「前に美月会長は妹がいると言っていた」「あなたが妹の春香?」と質問します。
この言葉から読み取れるのは、スミスミ会長は名前を覚えるほど美月会長は春香の事を話題に出していたってことですね。
妹の名前が優だってことを認識していなかったことからも、優よりも春香について言及することが多々あったことがわかります。
「あんまり美月会長とお話したことがない」と語るスミスミ会長が認識するほど春香について話してたってどんだけ美月会長は春香のことが気になっていたんだ。
躓キッス
美月会長により春優キス禁止令が施行された後、春香と優が体育の授業でダンスの練習をするシーン。
練習中に優が躓き、春香の頬にキスをしてしまいます。
それについて恥ずかしそうに頬を赤らめる優ちゃんと、「その発想はなかった…!」と目を輝かせる春香の対比が好きです。
その後春香が躓きまくるのはもはやお約束…
シャンデリア
美月会長の卒業記念パーティで園田家にコトネから贈られたシャンデリア。
普通の家では邪魔なだけな気も…
姉妹ゲンカに巻き込まれる春香
同じく美月会長卒業記念のパーティ中に、優の美月は口うるさい事を言い過ぎているという文句から始まる姉妹ゲンカのシーン。
まだキス禁止令は継続しているのですが、この姉妹ゲンカ途中で優は春香にキスを迫ります。
そしてそれを阻止しようとする美月は、優と二人で春香の引っ張り合いを始めます。
その時の春香の表情が修羅場であるにも関わらず笑顔で幸せそうなんですよね。
この流れの中での春香の困惑と幸福が混ざった表情が全体的に可愛いです。
撮り直し
夏休みの登校日で春香と優が夏の思い出に写真を撮ろうとするシーン。
春香が「前髪が変」だと言って撮り直そうとすることに優は不満げだったのですが、撮り直したあと優は目が半開きになってしまっており、それを撮り直して貰おうと必死で春香に伝える優ちゃんが可愛くて好きです。
ちょっと泣いちゃってるし。
冷房つけてもアツアツ
みんなで海に遊びに来て楓とゆずがバイトをしている海の家での食事シーン。
春香と優は机の下でキスしてるしコトネは不意にしずくに口移しするし…
楓にバレても仕方ないのでは?
というかわかってて冷房効いてるのにアツアツだーって言ってるはずです。
私達もいつか行こうね
夏休み中、春香の家に優が泊まりに来るが、両親がいない理由を春香が教えるシーン。
春香の両親は結婚記念日の旅行で出かけているのですが、それを聞いた優が「私達もいつか行こうね」と語ります。
いつの間に結婚したんだ…
いや、2巻でしてましたね。
春香からではなく優からこの台詞が出てくるのが一方通行な想いじゃないことがよくわかってとても好きです。
そしてそれに満面の笑みで「うん」と答える春香もまた良し。
今度は事故じゃない
美月は3巻冒頭で、躓いて春香のおでこにキスをしてしまいました。
そして卒業式の日、美月は「ちょっとだけワガママきいて」と言い、自分から春香のおでこにキスをします。
この時の「今度は事故じゃない」ってセリフが、美月の未練を断ち切った笑顔も相まって心に響きます。
優のことを大事にしてくれる春香と、その春香と自分が大事にする優の心に傷が付かない範囲で出来る、一番のワガママだったのではないのでしょうか。
身体を背けそのシーンを見ない優も良いです、好きです。
アニメでも最高だったのでぜひ12話までいいから見てほしい…
総評
繰り返しすぎてあまりにも期待され過ぎても困ってしまいますが、美月の卒業が最高の3巻です。
実る恋と実らない恋の2つがあるから桜Trickは恋愛モノであると胸を張って言い張れます。
そしてまだアニメ化されていない話もここから収録され始めるので、アニメしか見ていないという方も是非読んでみてください。
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